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『ちはやふる 上の句』「ちは」しか見えない

ちはやふる -上の句-

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監督: 小泉徳宏
キャスト: 広瀬すず、野村周平、真剣佑、上白石萌音、矢本悠馬、森永悠希、清水尋也、松岡茉優、松田美由紀、國村隼、津嘉山正種、広瀬アリス

公開: 2016年3月19日 観賞: 2016年3月30日 劇場観賞

見終って今、Perfumeの主題歌「FLASH」のサビの部分が頭の中をグルグル回っているわけ。

音と共に何度も彼らの燃える瞳と勢いと札叩く音が脳内リピされる。

この時代に戻れたら…と思える映画に出会えることは幸せだ。だから、ちょっと涙が出てくる。

千年前。在原業平が詠んだ恋の歌。
でも、今の私には「ちは」しか見えない。

◆あらすじ
同級生の千早(広瀬すず)、太一(野村周平)、新(真剣佑)は、いつも仲良く競技かるたを楽しんでいた。小学校卒業を機に彼らはバラバラになってしまうものの、千早は単独で競技かるたの腕を磨く。高校に進学した千早は再会を果たした太一と一緒に競技かるた部を立ち上げ、この世界に導いてくれた新を思いながら全国大会を目標とする。(シネマトゥデイより引用)

 

百人一首の上の句「ち」は三枚ある。

ちぎりおきし させもがつゆを いのちにて あはれことしの あきもいぬめり
ちぎりきな かたみにそでを しぼりつつ  すゑのまつやま なみこさじとは
ちはやぶる かみよもきかず たつたがは  からくれなゐに みづくくるとは

「ち」の次が「ぎ」じゃなければもう「ちはやぶる」で確定。「ち」「は」の二字決まりなのだ。

もちろん、歌の意味は大切に考えればいい。けれども、今、千早には「ちは」しか見えない。 恋ではなくて競技なのである。

この清々しさ。

正直、こんな映画で前後編ーー

と観る前は思っていたのだけれども、今はこの幸せな2時間を来月また体験できると思うと楽しみで仕方ない

広瀬すずの眼力、抱え込む情熱をかるたに託す学生たち、熱いよねーー
青春だなぁ。ああ昔に戻りたいって思わせてくれるこういう作品が大好き

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自分の好きな事に情熱を傾ける少女が物事を達成するために仲間を募り、そこから友情青春物語が生まれていく…というのは学園ものの筋としてはベタっちゃベタなのだ。

しかし、ベタで飽きる物とベタなのに盛り上がる物の間には良質なセンスという大きな川が流れているわけで、これはもう、まぎれもなく名作でしょ。

会話の楽しさ、キャラの愛おしさ、かるたへの想い、仲間への思い、過去への興味、競技かるたの映像迫力。

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堂々と主演を張るテンション高い少女マンガキャラの広瀬すず。
千早が競技かるたの才能を持っているのだとしたら、この子もまた「持ってる」子だ。
   

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本当はこの手の青春ものにあまり恋愛要素を大きく持ってこないでほしい派なのだが、演出が圧倒的に良いので、ついついキュンってなっちゃうよね。

見るたびにイケメンになっていく野村周平くん。

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そして、真剣佑くん。いいなぁ…このホンワカしてるんだけれども才能を見せつける時には剣のように鋭い雰囲気のギャップ。好き。

メガネと役名のせいでARATAを思い出させられて、脳内でつい「ピンポン」へと繋がる。だから余計に好感持っちゃうのかも。。

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彼らの気持ちとシーンにピッタリ合った盛り上げる劇伴は横山克さん。いつもながら天才。音楽に釣られて緊張したり胸が詰まったり…。

EDのPerfumeも後篇への気持ちを高ぶらせる曲調でピッタリ。

ED後には「下の句」の予告が入る。この入り方も良かったね。本編に引き続き盛り上がった。松岡茉優のクセモノ感が、もう楽しみで

青春時代に同じものを追っかける仲間がいるって素敵だよねって心から思えた1本。

後編「下の句」は、4月29日公開!それまでに、ぜひぜひ「上の句」を見てね!!←好き過ぎて、ついに宣伝を……。。

 

ここから下ネタバレ観てない方は観てから読んでね 

    


 

ちはやぶる 神代も聞かず竜田川 からくれなゐに水くくるとは

二条の后への恋心忘れられぬ業平が、水をくぐっても映えるほどの紅葉に染まる川を詠んだ恋の歌…と言われている。(もっとも、この人、すごく恋多き人だから色んな女にこんな歌を詠んでるわけだけど。)

歌の解釈と共に千早の頭に広がる赤い川…。少女にとってはロマンティックな歌だね。

で、その想いは子どもの頃から実は2人の男子が抱えているわけなんだ。

千年前。在原業平が詠んだ恋の歌。
でも、今の俺には「ちは」しか見えない。

もちろん、太一にとっても競技かるたその物が青春で、勝ちたい気持ちはあるけれども、その目線の先には千早がいる。

面倒くせーー…と思いがちな三角関係案件なわけだが、ストーリーの勢いと真剣に闘う彼らと彼らの中に垣間見える複雑な感情をあの音楽に乗って感じていると…何だかすごく…切ない

恋愛パートは観客にそう思わせたら成功だよな。見事にハマった私。

子供の頃は新に勝ちたくてメガネを隠し、今はまた新に取られたくなくて携帯番号を隠す太一。

「出し抜いて、騙して、盗んで、隠して」

そんなやつだと自分を嘆くこの子が本当に愛おしかったよ。人間らしくて。

孤独の中で生きてきて初めて持った仲間に対する複雑な心境を抱える机くんの「田子の浦に…」も良かったし(競技中にストライキとかは止めてぇぇ…とは思ったけど。)、共感できることや、心に染み入る言葉がたくさんあった。

決して説教くさくなく。
決して、あざとくもなく。

彼らの頑張りとわずかな時間の中での成長を自然と応援できる、そんな作品だった。

「下の句」に大きく期待する。

 

『ちはやふる -上の句-』公式サイト

 

 

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comment

  1. nakakuko より:

    BROOKさん
    自分は高校時代は結構楽しかったんですよね(笑)燃えているものもあって…
    だから、こういうのを見ると懐かしくて嬉しくて戻りたくなってしまう^^
    後編が楽しみです!

  2. BROOK より:

    >青春時代に同じものを追っかける仲間がいるって素敵だよね!って心から思えた1本
    やはりこれに尽きますね。
    高校時代、こんなにのめり込むものが自分には無かったなぁ…と、ちょっと後悔(苦笑)
    エンドロール後に下の句の予告編が入り、
    上の句よりもさらに盛り上がりそうな予感。
    公開が楽しみですね!

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