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『大統領の執事の涙』他にご用はございませんか

 大統領の執事の涙 

~ THE BUTLER  ~

 

      

監督: リー・ダニエルズ   
キャスト: フォレスト・ウィテカー、オプラ・ウィンフリー、オプラ・ウィンフリーイライジャ・ケリー、ロビン・ウィリアムズ、ジェームズ・マースデン、ミンカ・ケリー、リーヴ・シュレイバー、ジョン・キューザック、アラン・リックマン、ジェーン・フォンダ、ヴァネッサ・レッドグローブ、アレックス・ペティファー、アムル・アーミン、クラレンス・ウィリアムズ三世、キューバ・グッディング・Jr.、コールマン・ドミンゴ、レニー・クラヴィッツ、テレンス・ハワード、ヤヤ・アラフィア、ジェシー・ウィリアムズ、ネルサン・エリス、マライア・キャリー

公開: 2014年2月15日

2015年4月13日。DVD観賞

トルーマンからレーガンまで8代のアメリカ大統領に仕えた実在の黒人執事、ユージン・アレンをモデルに、彼の目から見たアメリカ人権問題の30年間を描いた物語。

主人公が何かのために動くわけではなく、その目を通して見せるアメリカの歴史。

見る前は、130分超えの映画は長いという印象だったが、見終わってドップリ。1人の人間の一生を体感した気分になる。歴史を見る主人公。主人公を見る観客。この作りは上手い。

あらすじ
綿花畑で働く奴隷の息子に生まれた黒人、セシル・ゲインズ(フォレスト・ウィテカー)。ホテルのボーイとなって懸命に働き、ホワイトハウスの執事へと抜てきされる。アイゼンハワー、ケネディ、ジョンソン、フォードなど、歴代の大統領に仕えながら、キューバ危機、ケネディ暗殺、ベトナム戦争といったアメリカの国家的大局を目の当たりにしてきたセシル。その一方で、白人の従者である父親を恥じる長男との衝突をはじめ、彼とその家族もさまざまな荒波にもまれる。(シネマトゥデイより引用)

「白人は黒人を殺しても罪にならなかった」1940年代、主人公・セシルの少年時代からストーリーは始まる。そこから、バラク・オバマがアメリカ史上初の黒人大統領に就任する2009年まで。

アメリカの人権運動、黒人白人と同等の地位を勝ち取るまで。執事として見ざる聞かざるでコツコツと働いてきた主人公の生活と共に社会が映し出される。

1940年代、アフリカ系アメリカ人初のメジャーリーガー、ジャッキー・ロビンソンを描いた『42 ~世界を変えた男~』辺りの時代。黒人が差別の中で頭を打たれ続ける時代だ。

綿畑で奴隷として両親と働くセシル少年。

そこから1950年代。セシルは結婚し、2人の息子にも恵まれる。そして機会に恵まれホワイトハウスで働く事に。

 

政治の中心のすぐ近くで「見ざる聞かざる」の生活を当たり前にして仕事しながらも、南部での差別のニュースは耳に入ってくる。年頃になった長男も世の中への不満をくすぶらせている。

『ヘルプ ~心がつなぐストーリー~』の時代。南部では黒人はトイレも乗り物も専用の物を使うように強要され、人間としての尊厳を奪われ続ける。

そして訪れる民権運動。権利のために戦う黒人たち、それに反対し続ける白人、KKK、フリーダムバス、マルコムX、キング牧師…。 

そうした歴史の流れの中で、実は主人公の体験としては黒人差別の辛さほとんど描かれない。むしろ、えっ、そんなトントン拍子に…と思ってしまうくらいで。逆に、だから主人公と一緒に歴史を傍観しやすいのかも知れない。

ある意味、アメリカの人権運動の歴史を年表的に見ている感覚もある。

 

主人公が政治の中心部で淡々と執事の仕事をこなす中、主人公の息子が「世間と闘う被差別者」の役を負ってくれている。

これが息子だから、また世相は無関係に世代間のストーリーにもなってくる。親には親の考え、子どもには子どもの考え。相容れない親子の確執は時代も国も超えて身につまされる。

「アメリカ」の話でもあるが、セシル一家の「家族の物語」という部分が大きいのだった。

 

ウィテカーさんの演技の素晴らしさは、もういうに及ばず…。大統領たちのキャストにちょっとワクワクしてしまった。

 

 ケネディー大統領夫妻はジェームズ・マースデンとミンカ・ケリーなんだけど、雰囲気あるわ~。お坊ちゃんとお嬢様に見える。

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アラン・リックマンさんのレーガンも似てる。大統領もそれぞれの個性。

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 レーガンの時代まで34年もの間ホワイトハウスに仕えて。政治の中心地にいながら、主人公は何もしない……。

のではなく。

実は、一番大切な事をコツコツとやっていたのだという事は、キング牧師とオバマ大統領の口から語られる。

 

それが、本当に世界を変えるために一番大切な事だと心から納得できたから。

だから、この作品は素晴らしい。

 

ここから下ネタバレ観てない方は観てから読んでね 

    


 

 「権利のための闘い」だと言って無謀な運動を繰り返すルイスにはムカムカした。自分を育てて食べさせてくれた父親の仕事を軽蔑して、理解のない家族だと思って見ていた。あの食事会の場はスッキリしたわ。縁を切られて当然だと思った。

けれどもベトナム戦争で次男を失い、白人向けの顔を貫き通す執事の顔を外から見る機会を経て、最終的には父は知るのである。

息子は犯罪者ではなく、アメリカの良心のために戦ったヒーローだった。

まぁ暴走しすぎた感はあるしヒーローは言いすぎな気もするけれども、彼らが闘う姿を見せてきたことで、みんなが立ち上がる事ができたんだよね。

そして、地道にコツコツと働いて黒人の信頼度を高めてきた父もまた黒人社会のために闘っていたのだった。

 

「執事やメイドは自覚のない戦士」

というキング牧師の言葉。

「自らの努力で勝ち取った人権」

だというオバマ大統領の演説。

親子それぞれの戦い。

 

この人たちが力を尽くしてきた結果が、今でも根強く残る偏見と差別の完全な消滅に繋がればいい。心からそう願う。

映画『大統領の執事の涙』 | 公式サイト |

 

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