愛を積むひと
監督: 朝原雄三
キャスト: 佐藤浩市、樋口可南子、北川景子、野村周平、杉咲花、森崎博之、佐戸井けん太、岡田義徳、吉田羊、柄本明
公開: 2015年6月20日
2015年6月11日。劇場観賞(試写会)
雄大な北海道・美瑛の風景、日本映画を支える俳優たちのどこも不安のない演技、情景にピッタリ合った岩代太郎氏の美しい劇伴、教科書のように整然とした脚本…
本当に「イイ映画」であってツッコむ所がほぼない。「大人の映画」の安心感……。
◆あらすじ
東京の下町で営んでいた工場を閉鎖し、残りの人生を北海道で過ごそうと決意した篤史(佐藤浩市)と良子(樋口可南子)の夫婦。かつて外国人が暮らしていた家を手に入れて暮らす二人だが、仕事一筋だったゆえに篤史は手持ちぶさたになってしまう。そんな彼のために良子は、家を囲む石塀作りを頼む。しかし、良子が以前から患っていた心臓病を悪化させて他界してしまう。深い悲しみに沈む篤史だったが、石塀作りを手伝う青年・徹(野村周平)との交流や、娘・聡子(北川景子)との再会を経て、前を向くようになる。(シネマトゥデイより引用)
設定自体にはツッコみ所もあるのだが、それが気にならないくらいに物語の方がしっかりしているので、あまり考えずに入りこむ事が出来る。
映画自体の印象は劇場予告の通りで、奇をてらった部分はない。予告を見て期待した方は裏切られないと思います。つまり…いわゆる「泣けて感動する映画」である。
ただ、まぁ…若干、男性バンザイなドラマだよなぁ…とは思うのだった。こんな奥さんさ…なかなか居ないって。そして、死んでまでも心配かけさせる要素でいっぱいなダンナなんて嫌だ。。
多くの解説がこの作品について「夫婦での観賞をお薦め」しているが、どうなんだろうか。自分は1人で試写会で観たので解らないが、夫と一緒に観ていたらこの奥さんが立派過ぎて辛かったかも知れない。。
…という個人的な話は置いといて…。
そうやって泣きながら心の中で時々ブツブツいう作品だった。
慈愛に満ち溢れた妻、ちょっと子どもが抜けない夫、疎遠になってしまっているけれども美しく清楚な娘、こんな子が嫁だったらホントにいいよね…と思わせられる近所のお嬢さん、と、ベタだけれども理想的な人間模様で綺麗に物語は進行する。
いい映画だと思う。ただ、何だか優等生すぎて「好き」とは違うかもしれないな…と思う。前日に観た『予告犯』の方が(比べる必要もないことだけれども。)明らかに若くて幼いんだけれども個人的には愛おしいのだった。
映画も…ちょっと出来の悪い子の方が味があって可愛かったりするわけね…。
ここから下ネタバレ↓観てない方は観てから読んでね
会社を畳まなければならないほど切羽詰まっていたのに北海道で仕事もしないで石塀作ってていいんだろうか…みたいな設定に関しては、まぁそういう事もあるんだろ…とか宝くじでも当たったのでは…とか思ってスルーする。
…けれども、色々な場所から次々と出てくる「私はもうこの世に居ないということですね」設定の手紙がひょんな事から生前にダンナの目に入っちゃったら恥ずかしいじゃ済まないよね、ぉぃ…という部分はスルー出来ないのだった。←いや、そここそスルーだろ。。
すごくシッカリした本当に女神さまのような奥さんである。徹を許す事で自ら「許し」の手本を夫に見せ、自分の死後に夫が引きこもりにならないように仕事を与え、夫の世話をしてくれる人から友達まで用意し、娘と仲直りする切っ掛けまで整えてくれる。
(で、でも多くの妻はこんな人じゃないので、この映画を観た男性は間違えないようにキヲツケテ…。これじゃ妻じゃなくてマミーだよ…)
しかし、いい夫婦だな、とは思ったよ、本当に。
結婚してから毎年1粒ずつ真珠のプレゼント。ロマンティックである。
毎年1粒の真珠。妻が亡くなってからも積み続ける石。
夫婦とは、そういうものをコツコツと積み上げてきた結果出来上がる物だというのはシミジミと温かく伝わった。
夫婦の有り方について考えさせられ、反省を…………
あ、だからやっぱり、夫婦で観に行くと辛いことになるかも。。
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comment
BROOKさん
良く出来た大人の映画ですよね。
とても正しくて真面目な作りでした。
岩代さんの劇伴は北海道の自然にピッタリでしたね^^
ホント“良い”映画だったと思います♪
まさに“大人”の映画でしたね。
誕生日ごとに真珠を一粒プレゼントし、
それをネックレスにしている件は、
素敵だなぁ…と。
最後はそれを娘に受け継がせていく…ホロッと。
北海道の風景と岩代さんの音楽も非常に素晴らしかったです。