くちびるに歌を
監督: 三木孝浩
キャスト: 新垣結衣、木村文乃、桐谷健太、恒松祐里、下田翔大、葵わかな、柴田杏花、山口まゆ、佐野勇斗、室井響、朝倉ふゆな、植田日向、高橋奈々、阿部夏実、狩野見恭兵、三浦翔哉、内里奈、田村隆、中村結香、浜浦彩乃、春乃きいな、山崎可穏、脇内萌、渡辺大知、眞島秀和、前川清、石田ひかり、榊英雄、木本武宏、野間口徹、田口主将、木村多江、小木茂光、角替和枝、井川比佐志
公開: 2015年2月28日
2015年1月28日。劇場観賞(試写会)
試写会が終了した後、自然と周りに合わせて拍手していた。
随所でウルウルしたよ。15歳の少年少女の純真さに泣かされた。
恐らく15歳から遠くなった人ほど、そして夢や悩みを抱えていた人ほど、懐かしさでいっぱいになる作品だと思う。
船の汽笛は「ド」のシャープ。前進。前進。
あらすじ
長崎県五島列島の中学校に、産休代員として柏木ユリはやって来た。島出身の天才美人ピアニストの着任に生徒たちは沸いたが、柏木は終始無愛想でやる気も見えない。
コンサート目前の合唱部の顧問になった柏木は高飛車でピアノも弾いてくれず、ナズナたち女子部員は彼女に不満を募らせていく。
大人には大人のトラウマが。
15歳には15歳の悩みが。
解りきっているそんな単純な事を今さらながら思い出す。
15歳は傷つきやすく面倒くさい。15歳の世界は白紙に近い。だから15歳には夢がある。
「15年後の自分に」宛てた手紙が今の自分へのメッセージになる。そういう事もあるかもね。
ストーリーは至ってシンプルで、言ってしまえばベタである。
しかし、人物の心情がきちんと積み立てられた脚本の中にあるベタは感動を呼ぶのだと思い知らされた。
近年、あれこれと問題が持ち上がり、主人公の不屈のお節介力で解決していく話が多くて辟易としているわけだが、この作品はそういうベタはやらない。
大きな問題は主要生徒の2人に絞り、それにも必要以上に誰かが関わることはなく、人と人との繋がりが静かに解決に導く、その過程に疑問や不快感を覚えずに受け止める事が出来る。そういう優れた脚本。
島は噂がすぐに広がるという下りはあるが、そのせいで不快感を抱かされることもない。
島と海のロケーションも生徒たちの歌声も爽やかに心に刻まれ、清々しい感動で劇場を出る事が出来る1本。良作。
アンジェラ・アキの『手紙~拝啓 十五の君へ~』が全国学校音楽コンクールの課題曲として使われている作品…ということで、実は歌い手の方は苦手系なので観る前は若干腰が引けていたのだが、これが中学生の合唱にピッタリなのね。
五島列島の風景、古い教会、セピアに光る海、心を救う歌。
純粋すぎるほど清々しい子どもたちを脇から温かく支える役者さんたち。
人を救う記憶を呼び覚ます歌がある。
音楽の力は偉大だ。
以下ネタバレ感想
船の汽笛は「ド」のシャープ。お母さんが教えてくれた。
お母さんとの温かい思い出が、サトルの兄・アキオが繰り返す
「あんたがおって良かった。前進。前進。」
と繋がる…というちょっとしたミステリーに驚いた。
こんなストーリーの中に秘密が隠されていたなんて。
父親に二度捨てられたナズナ。
自分の存在は兄のためだけだと思っていたサトル。
それぞれの心に響く「あんたがおって良かった」。
サトルの両親も決してサトル自身の存在を利用するために産んだわけでは無くて、ちゃんと愛しているのだという事が伝わる。だって、合唱祭に父も来てくれているのだから。
ナズナのためにピアノを弾くことで、トラウマから脱出できたユリ。
それぞれの体験と繋がりが人の心を救っていく。
くちびるに微笑みを。くちびるに歌を。
優勝できなくても、この記憶は温かい思い出としてきっとこの人たちの心に残る。
そして、その記憶がまた15年後に誰かを幸せにするのだ。
そう予感できるラストシーンまで、全てが感動に繋がった。
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comment
隠れ常連さん
レスが遅くて申し訳ありません。
原作情報ありがとうございます。
その後DVDの方はご覧になりましたでしょうか。
映画でも主軸は先生よりも生徒の方にありました。
比べてみるのも面白そうですね^^
こんにちは。
先日本屋でこの原作を見つけ、管理人さんおすすめの映画だったこともあって読んでみました。
かなり面白かったです。原作未読でしたら、おすすめします。
おそらく映画とは登場人物は同じでも、主人公が変わっています。ユリ先生は完全な脇役となっており、さながらスピンオフ作品のように感じるのではないかと思います。
DVDが本日発売のようで、購入します。