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『トワイライト ささらさや』オレのための時間

トワイライト ささらさや

    ささらさや.png

監督: 深川栄洋   
キャスト: 新垣結衣、大泉洋、中村蒼、福島リラ、寺田心、つるの剛士、波乃久里子、藤田弓子、小松政夫、石橋凌、富司純子
公開: 2014年11月8日

2014年10月28日。劇場観賞(試写会)

ささらさらっと感想で…。

イイ話…ではあったけれども、何だか薄いと感じてしまった。

「ささら」の人たちのエピソードがサラッとすぎて、キャラクターに深みや愛着を感じるのにほど遠かった。
キャラクターの持ち味はあるし、確かに温かくていい人たちなんだけれども…それはストーリーから得る印象というよりも役者さんの力技のように見えた。

全体的に脚本よりも役者さん任せで何とかなった作品という気がする。

あらすじ
サヤは落語家である夫・ユウタロウを交通事故で失くした。ユウタロウの葬儀で、生まれたばかりの息子・ユウスケを抱えて涙するしかないサヤの前に「死んだ」と聞かされていた義父が突然現れる。ユウスケを跡継ぎとして貰っていくという義父に戸惑うサヤに、「誰も知らない所に逃げろ」というユウタロウの師匠。この時、師匠にはユウタロウが憑りついていたのだった。

えっと…亡くなった夫が見ているという設定なのは予告でも散々やっているのでネタバレではないですよね

そう。夫は全く幽霊感なくこの世に存在しているので、そういう部分で涙する事がまずなかった。
落語調の演出は面白いけれども見る側が「人が死んでしまったから悲しい」という気分に浸ることが無く、ただサヤの悲しみを傍観する視線になってしまうのは脚本の狙いなのかしら。

つまり、そういう視点で泣かせようというワケではないのならば人情に泣かせるって話なんだろうが、そこが薄いからちょっと…感情の持って行きようがない。

そもそも、ユウタロウの話がなかなか肝心な所に触れてくれないので、見ていてイライラする。
そんな雑談じゃなくて~~もっと伝えておかなきゃいけない事がいっぱいあるだろーーオヤジとどうなってるからこんな事態になったんだYO!

…と、結構ユウタロウに反感持ちながら見てしまったので…それも狙いですか

少なくとも、個人的にはこの主人公()に全く共感も同情もできずに終盤まで来てしまったのだった。

まぁ…それが最終的にはこの作品のテーマなんだろうなとは想像でき、実際そうなるわけだが…私がサヤさんだったらイライラしっぱなしになる。大切な事を先に言ってくれよと。

もっとも、サヤさんはそんなイライラ女ではないので、だから愛されるのである。

新垣結衣さんは本当に可愛かったし、美しかったし、若くて不安な母を一生懸命演じていた。ガッキー、可愛いよ、ガッキー♥ だけでも見れちゃう映画である。

先ほども書いたけれども脚本よりも「ユウタロウになる人」たちの演技に支えられた映画である。そこが見どころであり、笑いどころ。

特に「あの彼」は……素晴らしすぎてCGで造り出したんじゃないかと思うほどだった。天才だよ、あれは…。

現実を考えれば色々と納得できない設定もあり、「これはファンタジーなんだよ、ファンタジーなんだから!!」と、見ながら何度も自分を戒めた……つまり…戒めなければファンタジーだと思い切る事が出来ない演出だった。

別に泣かなくてもいいじゃない…という話だけれども、宣伝班が初めからこの映画を「泣かせたい」気持ちでやっているらしいので。結果、そんなに泣けなかったですよ。とご報告するしかない。

もちろん「笑い」も「泣き」も個人個人でレベルが違うから…笑って泣けた方を決して否定するという事ではありません。念のため。
(ちなみに当方の涙腺は通常かなり緩い方ですが )

原作は加納朋子氏の同名小説『ささらさや』。お話自体は恐らく面白いし、後味ホッコリ…な1本である事には違いないので、個人的にはちょっと残念でしたという感想。

 


以下ネタバレ感想

 

 

いやぁ…富司さんも面白かったけれどもさ…子役の寺田心くんが本当ーーーーに凄かったね~。 セリフの出し方も凄かったけれども表情や身振り手振りが…。
    ささらさや1.png

日本の子役界、恐ろしす……。

ユウタロウが他人に乗り移るたびに、父親の事、いい加減話してくれーーと思った。

そもそも親権のない人間が勝手に子どもを連れていく事もできないはずだし、どうしてこんな事になるのか解らなければ逃げて隠れるなんて事もできないじゃん交通事故だから賠償金だって出るはずだし、逃げちゃったらそれも貰えないじゃん。生活どうするんだよ(←だからファンタジーだってば……と自分を戒める )

結果的にはその「父親との関係」を紐解くストーリーで、最終的には石橋凌さんに泣かされたわけだけれどもね…そういう展開も予想されてはいたワケだけれどもね…それでも、不満でモンモンしながら見てた。

つまり、大泉洋ちゃんは好きだけれども、この映画を見ている大部分の時間で洋ちゃんに不満抱えながら見ていた。

わたくし、オヤジに抱っこされたくなっちまいまして…。

本当は大好きだったんだよね親子の事はその2人にしか解らない。それは納得。

ラストの流れで、やっとユウタロウが「死んでしまった」実感が沸き、馬鹿で哀れな父子に涙する。

馬鹿だねぇ…おれは…。

この世をさまよう時間はサヤのための時間ではなくて、オレのための時間だった。

人はいつ居なくなるのか解らないのだから、後悔しないように生きている内に色々と解決しておかなくては…というメッセージは伝わった。

・「トワイライト ささらさや」公式サイト

 

 


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・象のロケット

★前田有一の超映画批評★

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