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『怪しい彼女』青春写真館

怪しい彼女~ Miss Granny / 수상한 그녀 ~

   

監督: ファン・ドンヒョク   
キャスト: シム・ウンギョン、ナ・ムニ、パク・イナン、ソン・ドンイル、イ・ジヌク、ジニョン、チャン・グァン、キム・ヒョンスク、ファン・ジョンミン、キム・スルギ
公開: 2014年7月11日

2014年9月3日。劇場観賞

近隣で上映がなかったからDVD待ちだとあきらめていたのに、突然ウチから一番近い劇場に2週間だけ来たーー
なので、喜び勇んで観に行った。苦手な午前中活動を頑張ってやってきた。
結果、本当に見に行って良かった

シム・ウンギョンちゃんが主演だからか何となく『サニー 永遠の仲間たち』と被る。
『サニー』と同じような高揚感。『サニー』と同じような郷愁感。
いっぱい笑って、そしていっぱい泣いた…。

悲しくて泣くのではなくて、切なかったり優しすぎるからだったり…気持ちのいい感動と共に泣きながら劇場を出た。

もう間違いなく、中年以上の女性を感動させる映画だ。その辺も『サニー』と同じだ。

…でも、監督は『サニー』ではなくて『トガニ』のファン・ドンヒョク監督だ。。

頑固で気が強くて口が悪く近所でも家の中でもトラブルを起こす70歳の婆ちゃん・マルスン。ある日、嫁の事で落ち込んだマルスンは、オードリー・ヘップバーンの写真を飾る町の写真館で記念写真を撮る。その日からマルスンの新しい人生が始まるのだった。
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『サニー』は、ただ昔の仲間と集まるだけ。
この映画は「若返り」というドラマでマンガで有り触れた題材。

それがどうやったらこんなにファンタジックで切なくて深い世界になるのか…。

だから、韓国映画は底知れない…と、つい『サニー』と同じことを書いてしまう。

初めはね、マルスン婆さんがとても好きになれるキャラとは思えなかった。煩くて凶暴で無遠慮で無神経で…。けれども、この人の人生が見えてくるほど、こうならなければ生きて行けなかった時代も見えてくる。

世代のギャップ。貧しかった時代。必死の子育て…気づいたら70歳。

夢なんか無かった時代。
この人の事を理解してくれたのは昔の奉公人だけ。

こうして国が出来ていって今がある。親は、年寄りは、大事にしなくてはいけないな…と、心から思う。

普通の女だって20歳に若返ったら取り戻したいものがいくらでもあるだろうが、この人たちが若返ったらそれこそ「有りえなかった青春」を体験することになる。そういう意味ではこれは70代以上の人が一番感銘を受ける作品なのかも知れない。

魂で歌った歌は人の心を打つ。そこには彼女が振り返る歴史もあるから。
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シム・ウンギョンちゃん、20歳か~…。いや…こっちは『サニー』の後に『ヘンゼルとグレーテル』見たりしているものだから、全く現在のリアルな年が解らない。

けれども、何を見ても凄い女優さんだという事は解る。
また、可愛いんだけど今風美人…ではないものだから(失礼 )スタイルも含めて中にお婆ちゃんがいる雰囲気がすごく合ってるのよ。マルスン役のナ・ムニさんの演技を研究して似せたそうで、女優魂、素晴らしい。
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歌も全て吹き替えではなくてウンギョンちゃんが歌っているとはビックリだ。20歳の顔から70歳の顔、恋する乙女の顔から母親の顔。全てこなす女優…。

クライマックスはセリフと共に、彼女の表情にやられた。母の顔だよね…。
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他のキャストも全て愛おしいキャラで、久々に見て幸せになれる1本だった。
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『トガニ』でゲス校長だったチャン・グァンさんがワンシーンだけ出ているよ。もちろん、こっちではゲスな役ではあ
りません。

 


以下ネタバレ感想

 

 

「あなたの人生を生きて下さい。こんな親不孝な息子の元では無くあなたの人生を。」

という息子に、

「生まれ変わったら何度でも同じ人生を繰り返す。そうすれば、またお前に会える。」

と応える母。

孫に恋されて、昔では有りえなかった歌手という夢を掴んで、息子よりも若いプロデューサーに恋して…。

それでも、最終的にはこれは母と息子の物語だった。

どんな新しい生活よりも若さよりも夢よりも、もう一度生まれ変わったら何度も同じ時代を生きる。貧しくて苦しくても、それに耐えてこの息子と生きる。それが幸せ。

母の顔だった。

年を取ったら誰だって人生やり直してみたくなる。
他の人生もあったかも知れないと思う事も多い。

けれども、愛して育てた我が子との時間は何にも替えがたい。

EDのラストに流れる
「この映画をすべての母にささげます」

あれで、劇場を出る前にまた泣くことになったんだ…。

特に男子の母にとっては、ハマりすぎてしまう映画だった。

男の子はこれだから手放せないのよ。
監督もきっと、お母さんの自慢の息子なんだろうな。

幸せな時間をありがとう。

「怪しい彼女」公式サイト

 

 

 


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・象のロケット

★前田有一の超映画批評★

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