殺人の告白~ CONFESSION OF MURDER/내가 살인범이다 ~
監督: チョン・ビョンギル
出演: パク・シフ、チョン・ジェヨン、キム・ヨンエ、チョ・ウンジ、オ・ヨン、チャン・グァン、チェ・ウォニョン
公開: 2013年6月1日
2014年2月28日。DVD観賞。
これは~…変な方向に期待しすぎて失敗した…。
面白かったとは思うよ。けれども、変なアクションシーンが多過ぎて長すぎて自分には合わなかった。勝手に『殺人の追憶』のようなものを期待していたので…あんなに奥の深い地獄を見る事無く終わった感じ。
いや…前情報が『「殺人の追憶」にインスパイアされた…』のように思いこんでいたものだから…そうじゃなくて『「殺人の追憶」と同じく「華城連続殺人事件」をモチーフにした』って事だったのね。
犯人だって、『殺人の追憶』でトンネルに消えたパク・ヒョンギュ(パク・ヘイル)と、パク・シフ、似てません? あ、似てませんか…そうですか…。
自分の中では予告映像のイ・ドゥソクとパク・ヒョンギュが凄く被ってしまって、続編?くらいの気持ちで見始めたんですよね…結果、全然違うという…そら、違うわ。
元より ポン・ジュノ監督の名作中の名作の続編を勝手に作るなんて事あるわけもなく…いや、解っているんだけど色々と比べて見てしまう結果になったのだった。
世間を騒がせた連続殺人事件から15年。時効が成立した時、自分が犯人だと名乗るイ・ドゥソクという男が現れた。過去を反省する真摯な態度と甘いマスクでイ・ドゥソクはたちまちファンを作りマスコミの寵児になっていく。連続殺人事件の担当で、当時、犯人逮捕ギリギリまで迫った所を逃し、顔に傷を付けられたチェ刑事は、イ・ドゥソクに張り付き、時効が過ぎても事件の謎を追おうとする。
時効が過ぎたから逮捕される心配はなく、ただチェを刺激するためだけに会見や暴露本出版をしているように見えるイ・ドゥソク。その思惑がちっとも掴めない。チェ刑事と同じくらいイライラしながら見るわけだが、実は……。
…という話の展開は面白い。ストーリーの組み立てが凄いと思った。
ただ…。
遺族会カーチェイスとか、何だかもう…ツッコミ所だらけで。
笑わせて突き落して…の韓国映画が好きなんだけれど、これはもうどう見ていいのか解らなかった。
『殺人の追憶』のように、もうメチャメチャじゃないか笑っていいのかこれ…と思いつつ、いつの間にか深い闇に飲まれて号泣してたみたいな事にはならなかった…あ、だから別物だって。うん、解ってるんだけど~~。
自分的には一番ズドーンときたのは、あの農水路下の溝……あ、これも『殺人の追憶』と被っていたからこそですね…。
実際の華城連続殺人事件(ファソンれんぞくさつじんじけん)では3人もの女性の遺体が農水路から発見されている。山中で発見されたのは3人。1人は被害者最年少の14歳の少女。事件は今だ未解決。犯人は解っていない。
ここから下ネタバレ↓観てない方は観てから読んでね
他の「誰か」も私と同じように罪悪感を感じてほしい。
イ・ドゥソクの言葉はチェ刑事に向かって吐かれた言葉ではなく、犯人に向けた言葉だった。
結局、この作品を見ている観客もチェ刑事に騙されていたことになるわけで。チェ刑事の演技力が凄い。
『私が殺人犯だ』は、この映画の原題と同じ。
スヨンの最後の姿を映しだした映像に微かに入っていたラジオの声は第14回大統領選挙開票放送。
時効までは14分あった。
スヨンはこういう日が来るのを信じていたのかなぁ…。
時効寸前。執念の逮捕。…にはならなかったけど。結果的には犯人死亡の後味悪さ。
全ての筋に裏が用意されていて、こう繋がるのか…という驚きと面白さがあった。
だからこそ、もう少し…ヒューマンストーリーに重きを置いた作りであってほしかった。
バタバタしたアクションが、感動を邪魔する結果になった。
韓国では、この事件を機会に殺人事件の時効が25年になった、と作中では閉めている。
実際に華城連続殺人事件が未解決に終わった事も影響して、時効は15年から25年に延びている。
現在では日本と同じく時効撤廃へと動いているようだ。
そうだよね…。
人の命を奪って笑っているような人間に時効なんて必要ないわ。
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