神様のカルテ2
監督: 深川栄洋
出演: 櫻井翔、藤原竜也、市毛良枝、柄本明、宮崎あおい、要潤、吉瀬美智子、朝倉あき、原田泰造、濱田岳、吹石一恵、西岡徳馬、池脇千鶴
公開: 2014年3月21日
2014年3月13日。劇場観賞(試写会)
実は『1』の方を見ていない状態で試写会。
たまに書かせていただいていますが、本来、闘病ものとか終末医療ものは苦手分野なので…。
いや、見ればそれなりに感動するものが多いのだけど…何だか泣くために見るみたいで。
…で、たまに見ると、作り手の方も「これでもかこれでもか」と泣かせようとしている物が多くて辟易としたりして…。
自然と避けるようになってしまったのである。
だから、これも試写会に当たらなかったらスルーして終わっていたような気がする。
(あ、でも今回は竜也が出ているから観に行っていたかも )
結果、観て良かった。
後半は本当にほぼ泣きっぱなしの状態で花粉症の身には辛い作品だったけれども、臭いセリフや大げさな演技に泣かされたわけではなく、物語にどっぷり浸って泣いた。
美しい桜や満天の星空や…夫婦の柔らかな心情に心動かされる。
信州の本庄病院に勤務する栗原一止は、24時間休みのない中、激務に勤しんでいる。新年度、大学時代の同期・進藤辰也が東京の病院から着任してきた。しかし医学に燃えていたはずのかつての親友の姿はそこにはなく、時間通りに仕事を切り上げ夜は連絡が取れないあり様。辰也の変化を訝しがる一止に引き比べ、大先輩で恩師である貫田はその様子を見守っているようだった。
実際のお医者さんがこれほどまでに激務なのか医師に知り合いがいない身には解らないけれども、あの状態では仕事か家族かの選択を迫られても仕方ない。
けれども患者としては24時間365日休みのない病院は有りがたいものね…それが町を支えている。夫は常に様々な問題に悩んでいる。宮崎あおいちゃんが演じる榛名の柔らかい笑顔の安心感。
病気の話ではなく、夫婦の話だった。
離れていても心は寄り添うとはどういう事なのか。
最期の時までお互いに感謝して充実した人生を歩む姿に考えさせられる。
自分には出来ていない事だなぁ…と、反省させられた。
最近もうすっかり追いこまれキャラが染みついてしまった竜也の久々の普通テンションな役柄にホッとする…。
竜也が医師とか、どんな危ない医者になるんだとハラハラしていたけれども、ふつう~に穏やかな喋りだったわ。パパの顔まで見られるとは嬉しすぎる。
考えたら翔さんも声張る役柄が多いもんな…2人とも童顔だから医師はどうなんだろうと思ったけれども、とても良かったよ。
人が病気になったり亡くなったりするからと言って大げさに泣いたり叫んだりする人のいない静かな作品だった。良作。
ここから下ネタバレ↓観てない方は観てから読んでね
山を歩く時に、いつもイチさんを思い出します。
イチさんも苦しい道を踏ん張っているのだと思うと励まされます。
「心に寄り添う」ってそういう事ですよね。
ああ…そうか…と気付かされる思い。
365日稼働している病院で、夫の休みはほとんどない。
妻が子どもを顧みず医学に没頭している。
そんな中でも夫婦が共にいる意味は、心が寄り添っている事なんだ…。
ほとんど一緒にいなかった夫婦でも、最期の時にお互いに感謝できるのは、身体ではなくて心が共有した時間がきちんとあるから。
毎日顔を合わせていて一緒にいるのにバラバラな夫婦だっているだろう。「一緒にいる事」の意味を考えさせられた。
一緒に学んできた同期の友も同じこと。
離れていてもお互いの目指す物が理解できる。
西岡徳馬さん演じる高山教授と貫田先生の友情に、イチさんと辰也はまだ及ばない。
夫婦も友情も時間と経験を経て学んで育って行くんだね。
町に必要な病院の365日消えない看板の明かりが星を消している皮肉。
安心と共に無くすものもある。
わずかな時間、満天の星空を作ったヘリポート。
プラネタリウムよりも深い光の数に感動した。
この町に誰もがいつでも診てもらえる病院を…
その夢のために尽くした先生は逝った。
傍らにはその志を理解して時を過ごしてきた妻がいる。
新しい命を得て…イチさんと榛名さんにはこれからどんな夫婦の時が刻まれていくのだろう。
そういう余韻で閉めたラストに心が温かくなる。
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