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『つやのよる ある愛に関わった、女たちの物語』艶たちの澱

つやのよる ある愛に関わった、女たちの物語

  

監督: 行定勲   
出演: 阿部寛、小泉今日子、野波麻帆、風吹ジュン、真木よう子、忽那汐里、大竹しのぶ、羽場裕一、荻野目慶子、岸谷五朗、渡辺いっけい、永山絢斗、奥田瑛二、田畑智子、森本のぶ、横山幸汰
公開: 2013年1月26日

2013年8月12日。DVD観賞。

オムニバス形式で「艶(つや)という女性と関わった男たち」と関わった6人の女たちを描く物語。ちょっとややこしい。

まず、中心に「艶」という女性がいる。
男性遍歴の多い艶は、今は大島の病院で病のために入院しており、人生の末期を迎えている。
現在、艶の世話をしている松生春二は艶の最期にあたり、それまで艶と関係を持っていた男たちを探し始める。その男たちの周りにいる女性を描くストーリー。

つまり描かれる女性たちと艶には直接何の関係もない。

なのに、各物語の中に艶は必ず存在する。姿かたちがなくとも「居る」のだ。

自分の旦那や恋人が過去にどんな女と恋愛していたかは気にし始めたらキリがない。
しかし、彼にあまりにも強烈な恋愛の記憶があるのならば、やはりその存在は気になるところ。

もっとも、それぞれのエピソードの何処にも特に共感する所はなかったので、ちょっと辛かった。
そして、どの話も淡々としていて…長い。
物語に「オチ」を求めたら、この映画は見れないと思う。

見どころは、狂気の入った雰囲気の松生春二を演じた阿部寛の演技。と、各エピソードを彩る女優さんたち。

このエピソードが好き。と言える物は1つもないけれども、一番気の毒に思えたのは風吹ジュンさんかなぁ…。

そして、小泉今日子と荻野目慶子のワインのぶっ掛け合いが一番面白かった。
  

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これは、滅多に見れないと思う。

それぞれの女優さん達のファンの方にはお薦めしておきます。

ここから下ネタバレ観てない方は観てから読んでね 


男優陣も面白いけれども、あくまでも飾り。彼らこそが艶と直接関わった人たちなのに。

男性たちには似た所はないし、そう見ると「艶って手当たり次第だったのかな…」とも思えるけれども、女性たちは「似ている」らしい。
映画で見ている限りでは誰も何処も似ていないけれども、セリフの中に2度ほど出てくる艶に「似ている」というセリフ。

つまり、恐らく女はみんな「艶」なんだろうな…。

作中に一度も出てこない艶という人は、きっと、気が強く、けれども流されやすく、優しくて、思い出に縛られ、振り向いてくれないものを追う…。

そういう女性なのだろう。

そして最終的にはあんなに愛されて看取られて逝くのだから…本当に幸せな女だよね。

自分を一番愛してくれた人が側に居るのに気付かず死んでいく。孤独な人だ。
幸せに気づかぬ孤独。

誰もお前の通夜に来なかったぞ。ざまあみろ。

松生春二は、それが言いたくて艶の男たちを探していたのか…。ものすごい執念。
病院に辿り着くまでの長い長い坂を無言で自転車で漕ぎ続ける労力こそが、彼が艶を愛した労力と同じなのかも知れない。

この人はこの後、死んでしまうんじゃないだろうか、と思っていた所に、最後になって現れる春二を理解してくれそうな女性と男の子。

春二の人生に少しは光が見えた気がする、そんな終わり方だった。

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