俺俺
監督: 三木聡
出演: 亀梨和也、内田有紀、加瀬亮、キムラ緑子、高橋惠子、中谷竜、小林きな子、渋川清彦、少路勇介、岡野真也、町田マリー、ふせえり、岩松了、森下能幸、佐津川愛美、松重豊、松尾スズキ
公開: 2013年5月25日
2013年5月28日。劇場観賞。
亀梨和也が34人出て来るので、亀ちゃんファンにとっては至福の映画である。
(公式には33人なんだけど34人いるらしいので、今から見に行く方は気を付けて探してみて下さい )
「俺俺」と言われたら真っ先に頭に浮かぶのは「オレオレ詐欺」だけれども、まさにそこから話は始まる。
28歳の家電量販店店員・永野均は、ある日ファーストフード店で隣り合わせた男の携帯を手に入れてしまい、何となく「オレオレ詐欺」を行ってしまう。
家に帰ると全く知らない女性が出てきて均を大樹と呼び、母親だという。
そして実の母親は均をニセモノだと言い、均は長年親子で暮らしてきた団地を追い出されるハメになる。
団地の部屋から出てきたのは均とそっくりな生真面目そうなサラリーマン、大樹。
やがて均は自分にそっくりな茶髪の大学生ナオとも顔を合わせ、3人はナオのアパートを「俺山」と名付けて暮らし始める。
どんどん増殖していく「俺」。
嗜好も考えも同じ「俺」との暮らしは始めは楽しいが、だんだんと「俺」の中に色々な「俺」がいる事に気づき始める均。
誰の中にも「許せない自分」と「好きな自分」は居るだろう。
「私」の中にも「怠け者でダラダラした私」や「妙に神経質な私」や「無神経な私」がいるわけで、増殖して一緒に暮らしはじめたら絶対に楽しくない…予感がする。
すぐに削除を始めたくなりそう。
自分がもし世の中に溢れていたら、どんな事になるだろう…と、考えながら見ると面白い。
三木聡監督らしいシュールな世界が展開され、全部が夢なのか現実なのか異世界なのか…あまり考えて見るもんでもないけど。
個人的には劇場で見るよりもDVDなどで何度も見直したい気分。
たぶん、見れば見るほどネタが落ちているに違いない。1度しか見ないのはもったいないかな。
とは言え、ストーリー自体はちょっと後半丈長に感じられてしまった。
三木監督の作品で一番好きなのはテレビドラマの「熱海の捜査官」なのだけど、ああいうワクワクはなかったな…。
亀ちゃんファンには、いっぱいの亀ちゃんが楽しめるし、三木作品ファンにはお馴染みの三木組俳優さんたちが濃いキャラクターで楽しませてくれる。
そういう点では、実に満足。
でも、VPはやっぱ加瀬亮だよね…。こんなキモい加瀬くん初めて見た。
亀ちゃんはとっても良かったので不満はないけれども、毎回同じストーリーで主役が違う1時間の連続ドラマにした物が見てみたいな…という贅沢をちょっと考えてしまった。
まぁ…結果、どんな「俺」が増殖しても、あまり俺同志は楽しくないんだろうな、という気はする。
「俺」なんて、世界に1人しか居ないのがいいよね。
ここから下ネタバレ↓観てない方は観てから読んでね
「私があんたの事を一番解ってるんだから!」
と言っていた母親までもが均が変わっても気づかない。
そんな風に人が人を識別する目なんて実は大した事ないんだな…とも考えさせられた。
今、ウチに帰って来ているウチの家族は本当に本人なのだろうか、と考える。ちょっと恐い。
最終的には「したたかな俺」大樹が、「人のいい俺」ナオを削除する。
その事に気付いたのは、やっぱり「俺」だからか。
案外、自分の事も自分ではあまり解っていないものなのかもしれない。…とも思った。
ラストに「マサエさん」と暮らしているのは、本当に均なのか?
たぶん、もう一回見ればそこまで確認できるかも知れない。
そして、きっと増殖しているのは「俺」だけじゃないんだよね…。
自分の中にある許せない部分を持った人間を人は削除しようとする。
恐い話。
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