依頼人~ 의뢰인 / The Client ~
監督: ソン・ヨンソン
出演: ハ・ジョンウ、チャン・ヒョク、パク・ヒスン、ソン・ドンイル、キム・ソンリョン、ユ・ダイン
公開: 2012年7月21日
2013年5月24日。DVD観賞。
正義感だけで動くことが司法の正しい道なのか。
目の前にいる依頼人を信じるか信じないか、本当に犯罪を犯したのか無罪かという感情論や憶測よりも、「裁判に勝ち正しく裁く」事を目的に動く1人の弁護士の法廷物語。
…と書くと、えらく硬くて難しそうな話に聞こえるかも知れないが、実際にはそれほど重々しく描かれているわけではなく、主人公・カン弁護士の弁護の技は軽快で物的証拠を追い求める様子は見応えがある。
【あらすじ】
結婚記念日にハン・チョルミンが花を買って帰宅すると、家の前は警察官で溢れていた。
ベッドの上に大量の血痕を残して妻は姿を消し、ハン・チョルミンはその場で容疑者として逮捕される。
血痕は妻の物だという鑑定結果が出ており、取調べでも何も語らない無表情なハン。
遺体も物的証拠も何もなく、状況証拠だけでハンが犯人として初めから決まっているような裁判の弁護人をカン・ソンヒは受ける事になる。
難しい裁判だと解っていながら「面白い」と言って依頼を受けるカン。
遺体のない殺人事件は2種類。
屋内発生か。屋外発生か。
屋外発生は物的証拠が消えやすい。だから状況証拠だけで犯人は確定される。遺体が見つかっても再訴はできない。
屋内発生は絶対に何処かに証拠が残っているはずだ。
しかし、証拠は全く出てこない。
遺体がないだけではなく、家の中の何処からもハンの指紋が出てこない。
映像技術の仕事をしているハンは薬剤と手の洗浄で指先を常に痛めており、指紋がないのだ。
現場に残されたのは血まみれのベッドだけ。
外部侵入の形跡は無し。
防犯カメラは警察に押収されており、出してもらえない。
こんな状況の中でカンは、何が何でもハンを犯人にしたいアン検事と法廷で対決する。
国策対策捜査、最高裁の人事評価、検事のメンツとプライド、様々な事情が見え隠れする中、なんとか「状況証拠」だけで依頼人を有罪にしないようにとカンは動く。
ハンと不仲だった義母の証言、致死量に至る血痕、警察の不気味な動き、曖昧な目撃者。
明らかに何かの陰謀が動いているように見える裁判劇が面白い。。
カンの最終弁論からラストまでの流れは、そこまでの事を考えると鳥肌が立つほど。
とにかく、ストーリーの組み立てが素晴らしい映画だった。
真実が解った時は、ええええーーーー!!!!!っとなるはず…。
多くを語るとネタバレになるので、あとは↓で。
ここから下ネタバレ↓観てない方は観てから読んでね
見終わって『宇宙人王〈ワン〉さんとの遭遇』と全く同じ騙され方してんな~私…と可笑しくなった。
無表情で無感情で無口な容疑者ハン。
以前、容疑をかけられたという「西北婦女暴行殺人事件」でも、そんな所が怪しまれたのだろう。人間って愛想がなくてポーッとしていると犯人に仕立て上げられてしまうんだね…。
…そういう話なのかと思っていた。
ハンが「妻を愛している。今でもどうしていいのか解らない。」と涙するシーンでは貰い泣きした。…ほら…人が良いからね…どう見ても可哀想な犯人にしか見えなかったし。
警察もアン検事も最初からハンを犯人にしたかった。
「西北婦女暴行殺人事件」の時に、証拠が無くて逮捕する事が出来なかったから。
別に大人の黒い事情だけで彼らはハンを有罪にしたいわけではなかったのだ。
そこが救われるところ。
しかし、カンは自白もなく物的証拠もない事件で犯人を作り上げる裁判はしたくなかったワケである。
そんな事が通用してしまうなら、冤罪はいくらでも増える。
本当にハンを信じていたのかどうかは謎。
弁護士の意地やプライドや金のためではなく、それがカン弁護士の正義。
無罪判決には、手を叩きたくなった。
アン検事も、ハンのやりたい事は理解したのだろう。
しかし、ここで一言。
最終弁論は素晴らしかった。
でも、ハンはあの時、扉の方を振り返らなかった。
「今から私が3つ数えると、この法廷の扉を開けてハンさんの奥さんが現れます。3・2・1」
緊張のシーン。
みんなが扉を振り返って注目した。
映画を見ている方も、実は妻は生きているかも知れないとずっと思っていたから。
今、扉を振り返った人は、ハンさんが犯人だという事を疑った人。
なるほど…と思った。その時、アン検事も妻の母親も扉を振り返っていた。
誰もがハンが犯人だと確信のないまま行っている裁判だという事をカンはあの時に立証した。
しかし、アン検事はちゃんとハンを見ていたんだね。
ハンは振りかえらなかった。
ハンだけは知っていたのだ。妻が入ってくる事は有りえないと。
夫が「西北婦女暴行殺人事件」の犯人だという証拠を見つけてしまった妻は殺された。
殺された女子高生から犯人が1本持って行った歯。
その時、ゾッとした。
だって、その事件の精神鑑定人が始めの公判で言っていた単語を思いだしたから。
「サイコパス」。
「西北婦女暴行殺人事件」に関わった刑事も検事も良い勘の元に動いていたんだね…。
ただ捜査が足りな過ぎた。
今度はカン弁護士が録ったハンとの会話の記録がある。違法らしいけど、確実な真実。
これは、もっと他の事件もぜひ見てみたい気持ちになった。
シリーズ化してくれたら絶対に見る。
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