中学生円山
監督: 宮藤官九郎
出演: 草なぎ剛、平岡拓真、遠藤賢司、坂井真紀、仲村トオル、ヤン・イクチュン、鍋本凪々美、刈谷友衣子、YOU、原史奈、家納ジュンコ、三宅弘城、皆川猿時、宍戸美和公、池田成志、少路勇介、野波麻帆、田口トモロヲ、岩松了
公開: 2013年5月18日
2013年5月20日。劇場観賞。
2013年5月現在、NHK朝の連続小説「あまちゃん」を見て、「クドカンの作品って何だかホワッとしていてボケがあって楽しそう~。♥ よく解らないけど映画も行ってみようかな~。」
とか、思っている方は、そんなつもりで見ると(゚Д゚)←こんな顔をしなくてはならなくなるのでご注意ください。
逆に「クドカン、よく全日本国視聴者向けに頑張って書いてるよね~…」と生温かく「あまちゃん」を見守っている自称クドカン大ファンの皆さま(←オレ含む)は、これぞクドカン!!と感涙にむせぶ映画である。
まぁ、そんな映画なので、万民向けとはとても言えない。
見る人によってきっと解釈も違う。
とりあえず…
男子の母としては「おっぱいバレー」とかこういうの見るたびに _| ̄|○ってなる…。
中学生男子の頭の中、こんなんばっかか!!?
「主演:草薙剛」になっているけれども、この映画の主演は普通に考えたら平岡拓真くん演じる円山克也である。
(平岡くんは「11人もいる!」で四郎を演じていたので、クドカンワールドではもう安定感♥ )
団地に住む14歳・中学2年の円山克也は、妄想に取りつかれて生きている。
平凡な父、地味な母、無神経な妹に囲まれて狭い団地の中で克也は「夢」を実現するために日々トレーニングに励んでいる。
「夢」の実現のために学校ではレスリング部に所属。
日々、行っているのは柔軟。
柔軟。
柔軟!…である。
ある日、円山家の上の部屋に子持ちのおじさんが引っ越してくる。
おじさんの名前は下井辰夫。
朝から団地のゴミの分別をし、一日中子供と遊び、一体何をやっているのか全く分からない不思議な人。
おじさんと知り合ってから、克也は夢の実現に向けてますます励むようになる。
そして、団地の周りではちょっとした事件が起こる。
この下井辰夫さんが草薙くんの役どころ。
出演シーンの数も役回りも明らかに脇役だ。
この「草なぎ剛主演」というのが大人の事情ではないのだとしたら、私の解釈は大きく間違っているのかもしれない。
95%妄想だと思ってこの映画を観てきたけれども、もしかしたら100%の妄想なのかも…。
私の分析では、この映画の成分は95%の妄想と5%の闇で出来ている。
95%は、ただケラケラと、あるいはクスクスとあるいは(苦笑)しながら、見続ける。
ここでヘラヘラと笑うことができるからこそ5%の闇の深さに茫然とする。
クドカン作品を観ていつも思うのは、ラストがどんなに爽やかに後味良く終わっても、EDを聞きながら心に残っているのは切なさだということ。
これがあるからクセになる。
今回もまたやられたな…。
と、鼻をすすりながら劇場を出る。
そして、また、所々で酷評されるんでしょうね。
とも思う。
ファンは別にそれでいい。
オレだけのクドカンでいてくれよ。と思うのだった。
ここから下ネタバレ↓観てない方は観てから読んでね
公園で裸踊りとか…J事務所的にはやっと閉じてきた傷をまた開くネタなはず。
よく入れたよな~クレーム来なかったのかな、と心配しつつ、クドカンさすが。そして草なぎくんの度量の大きさに感動。
妻を中学生に殺された下井にとって、中学生は恐ろしく憎むべき存在のはずだ。
しかし、下井は克也の妄想を受け入れてくれた。協力してくれた。
克也に「人を殺してはいけない理由」を考える人間になってほしかった下井。
考えられない大人になるくらいなら死ぬまで中学生でいるべきだ!
克也にそう怒鳴りながら、下井自身は「悪」に向かって銃を放つ。
なぜ悪人を殺してはならないのか。
下井自身は考えることを止めたのだ。中学生に戻ったのである。
出しちゃいけない日にゴミを出す、スクーターの停め方がはみ出している、ボケたおじいちゃんを放りっぱなし、二股、浮気、暴力、殺人……。
みんな考えない人たちばかり。
それでも、みんな生きている。
登場人物は愛おしいキャラばかり。
自転車に乗れない下井の後ろ姿は滑稽だ。
でも、あのシーンで見た同じ姿は悲し過ぎた。
愛おしい人たちを救うために銃を持つ下井。
その自意識の強さもまさに中二病なんだろうけど。
結局、私たちは誰も中学生から卒業していないのかもしれない。
だからこそ、下井は中学生の中からヒーローを選んだ。
ベロが届くか届かないかなんて可愛いもんだよ。
さて…どうして草なぎくんが主演なのか、と考える。
もしも、これが100%克也の妄想なのだとしたら、下井は妄想の中の主人公だとも言えるよね。
また、もしもこの映画が団地ごと100%下井の妄想なのだとしたら…考えているのは下井自身なのだから下井が主人公だと言えるよね。
…、ま、どっちでもいっか。面白かったから。
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