藁の楯
監督: 三池崇史
出演: 大沢たかお、松嶋菜々子、藤原竜也、岸谷五朗、伊武雅刀、永山絢斗、余貴美子、山崎努
公開: 2013年4月26日
2013年5月8日。劇場観賞。
スリリングな展開で飽きさせない映画だった。ずっとハラハラしっぱなしで、目が釘付けの状態。
ただ、三池監督らしさはあまり感じられない。
もっと悪夢の世界で展開される漫画チックなものを想像していた。
どんどん殺し屋のような物が現れて、バンバン銃を撃つのかなぁとか…。「悪の教典」的なものを想像していたので、大人しく感じられるほどのリアルな映像と描き方が意外だった。いい意味で。
幼い少女を暴行殺人した男に、少女の祖父が付けた懸賞金は10億円。
そんな男でも任務だから守らなくてはならない刑事とSP。選ばれた人員はみんなワケあり。
金持ちの復讐劇は日本全国民を巻き込んで開始される。
欲に目がくらんだ集団の恐ろしさ。
ここでもご多分に漏れず、いざとなったら一番役に立たないのが警察。(役に立たないどころか、色々とやらかしてくれるし)
ただ、まぁ…ターゲットが何で生かしておかなきゃならないんだろうってほどのクズなので、みんなの気持ちがよく解る。
こんなクズな藤原竜也は初めて見た…。カイジどころの騒ぎじゃない。
私だったら迷うだろうなぁ。自分の身を犠牲にしてこんな者を守らなきゃならない理由が分からない。
いくら職務だって言ったって迷いは生じるのが人間ってもの。
大沢たかおは、やはりすごい。始めから終わりまで、大沢さんの演技に持って行かれた。
松嶋奈々子は、無表情に銃を持つ姿がミタさんみたい。 そういう役なので、とても合ってる。
2人とも背が高くてスタイルが良いので見栄えするSP姿。
永山絢斗はこういう話には必ず出てくる教科書通りの若手刑事。でも、爆破シーンはカッコ良かった。
欲を捨てて、私情を捨てて、職務と正義感だけで人間は戦う事ができるのか。
本物の良心を問われるストーリー。
とても見応えのあるエンターテイメント作品なので、ぜひ劇場での観賞をお薦めします。
ただ、ラストの流れはちょっと長かったかなぁ…と思った。
こういう話はヒューマンドラマっぽくするとせっかくの勢いが削がれるような気がする。
そこは原作ありきだし好みの問題でもあるのだろうけど。
ネタバレ欄↓は、多少ツッコミあります。
ここから下ネタバレ↓観てない方は観てから読んでね
最初の看護師の注射で早くもゲームはスタート。ひゃ~刺客はどこにでもいる。忍者みたい。
神箸の死に方が可哀想だった…けれども、どうして銘苅は防弾チョッキを着ていて助かったのに、神箸は着てなかったの?命狙われるの覚悟の仕事なんだから、普通着るよね。
それは、白岩にも言えるけど。
仲間内でも誰かが怪しい、仲間の外はもちろんみんな怪しい。あっちもこっちも怪しくて、ずっとみんなを疑いながら見た。そこも面白い所。
白岩を殺した理由が「おばさん臭いから」だもん…。あまりに酷すぎる。
どうせ捕まって死刑になるんだから、もう1人くらいやったっていいじゃないか、とか、精神異常としか思えない清丸。
童顔で成人っぽくない藤原くんだから、こういう役も適役になったのだと思う。
ロリコンくず野郎。…ファンとして書いてて悲しい。 でも、役としては良かったよ…ほんと、見事なクズだった。
白岩を殺されて、初めて人間らしい感情を剥き出しにする銘苅。「撃っちゃえ撃っちゃえ」と思わず言いそうになってしまう。
ここでちょっと「Se7en」を思い起こしたんだけど、あそこまでの頭を掻きむしりたくなるような絶望感は感じられなかった。設定が妻や恋人じゃなくて後輩だからかな。
結局、助けるし。
個人的にはラストの蜷川が現れる流れは本当に蛇足だった気がする。
清丸もキチガイなら、蜷川も化け物。こんな程度で改心なんかしない。
ただ、銘苅が葛藤を終えて清丸を送り届ける。ああ、我慢したんだ…で、終りの方がいい。そのくらいの後味の悪さの方が、きっと記憶には残る。
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