横道世之介
監督: 沖田修一
出演: 高良健吾、吉高由里子、池松壮亮、伊藤歩、綾野剛、井浦新、國村隼、きたろう、余貴美子、朝倉あき、黒川芽以、柄本佑、佐津川愛美、堀内敬子、大水洋介、田中こなつ、江口のりこ、眞島秀和、ムロツヨシ、黒田大輔、渋川清彦、広岡由里子
公開: 2013年2月23日
2013年2月27日。劇場観賞。
原作は2010年度柴田錬三郎賞受賞、本屋大賞3位入賞の吉田修一氏作同名小説。未読です。
もう、ホントに出てくる人出てくる人、みんな可愛くて愛おしくてたまらないキャラ。
「南極料理人」も昨年の「キツツキと雨」も大好きで、自分は本当に沖田修一監督の作品が好きだなぁ…と、つくづく思う。
イヤな人が出てこない映画なのだ。
可笑しくて可愛くて、そしてどことなく懐かしいのである。
原作も知らず、前情報も全く仕入れず、予告の内容とキャストだけを楽しみに見に行った。
…で、私と同じような人は、ぜひ何の知識も仕入れない状態で観ていただきたい、と思う。
その方がたぶん…世之介がどうなるのか分った時の感情の揺れが大きい。
あのシーンもこのシーンもそうと知った後は、ちょっと見方が変わる。
物語は横道世之介という18歳の青年が大学進学のために長崎から東京へ上京してきた所から始まる。
それがまた初々しいの。
初めての1人暮らし、大学の入学式、活気あるキャンパス、友人らとの出会い。…全部自然に温かく描かれる青春物語。
私自身は女子大だったし、自宅から通っていたし、何も世之介さんと共通する所はないんだけど、それでも何故か懐かしい、と思える。
大学時代と並行して差し挟まれるみんなそれぞれに生きている「現在」。
彼らがみんな世之介を思い出すと可笑しくて楽しくて笑ってしまうという。
この挟み方が、すごく自然。
みんなね、本当に楽しそうでキラキラしてるんだよね。見ていてすごく楽しい。そして…切ない。この郷愁感は昨年の「桐島、部活やめるってよ」に通ずるものがある。
昔が懐かしくて、でも戻れない、戻れないと解っているから切ない。
その「戻れない」背景に1枚ベールがあるから、もっと切ない…。
好きな役者さんばかり出ているので、それも嬉しかったなぁ。
池松壮亮くんと朝倉あきちゃんの「はねとめっ」カップルとか、高良健吾くんと柄本佑くんだって、「書店員ミチル」で恐い共演しているし、綾野剛さんのこのキャラ…。♥
…うん。特にドラマをたくさん見ている人には、色々と被って楽しいかも…。
そして、与謝野祥子の吉高由里子ちゃんがいい。最高にいい。
彼女がいるからこの映画がキラキラしているんだよね。
全く嫌味のない無邪気な社長令嬢。
「現在」シーンでは、また違う顔も見ることができる。…違うから、それも時の流れを感じさせて切ないんだ。
こんな人が本当に自分の過去の記憶にもあったらいいな。こんな学生時代があったらいいな。そう思える大好きな作品に出会えた。
上映時間は長いけれども、全く長く感じなかった。思い出はあっという間に過ぎるから。
でも、1つ失敗したことがあって…。
朝ごはんを遅く食べたからいいか、と思って何も食べずに入ったら、お腹すいて仕方なかった…。
食べ物が結構出て来るんで。
美味しそうだし。
映画の前には腹ごしらえはちゃんとしよう…。
以下ネタバレ感想
大好きなシーンがある。
骨折して退院する祥子ちゃんと世之介が横断歩道を笑いながら歩くシーン。
それを、車の中から「現在」の祥子が見ている。
微笑みながら。涙ぐみながら。
この時の吉高由里子の表情が忘れられない。
この映画に出てくる登場人物のみんなの気持ちがあのワンシーンに集約されている。
私も、車を運転しながら過去を見ることがたまにある。
懐かしい場所を通りがかった時。そこに柔らかい光が当たっていればいるほど嬉しくて微笑ましくて切ない…。
線路に落ちた人を助けるために自分が犠牲になったと伝えるニュース。
しばらく会っていなくても、あの名前だから。忘れようがない。間違えようがない。
その時、みんなが思い出した過去の風景がこの映画の風景。
だから優しくて幸せで…そして切ないんだ。
思い出すと、何か笑っちゃう。幸せな気持ちになれる。
そんな知り合いは、私にはいないかもなぁ…。私自身もそんな人ではないだろうなぁ。
その人を思い出すだけで、キラキラした過去が笑いと一緒に蘇る。
そんな人に出会えたこの人たちは幸せだ。
そんな思い出を人に与えられた世之介も幸せだ。
ここまで書いて、全く自分のこの映画に対する気持ちが伝えきれないのが解る…。
とにかく、大好きだよ。世之介!
あ~…ひと言で書いた方がシックリくる…。
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