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『ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日』真実の物語の意味

ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日~ Life of Pi ~

       

監督: アン・リー   
出演: スラージ・シャルマ、イルファン・カーン、タブー、レイフ・スポール、ジェラルド・ドパルデュー、アーユッシュ・タンドン、ゴータム・ベルール、アディル・フセイン
公開: 2013年1月25日

第85回アカデミー賞・監督賞、作曲賞、撮影賞、視覚効果賞受賞。

2013年1月25日。劇場観賞。

劇場だけではなくてテレビ用の予告でも映像がバンバン流れているし、日本の副題に「トラと漂流した227日」なんか付いちゃってるので、すでにその部分はネタバレではないな、と思うから書いてしまう。
16歳の少年・パイがトラと漂流生活をするストーリーである。

で、予告だとそこばかり映っているのだが、この漂流生活に入る前のストーリーもなかなか長い。長いけれどもつまらないワケではなく、パイという少年の性格や拘り、家族の宗教観などが存分に描かれる。

ストーリーは大人になったパイに小説家が話を聞きに来る所から始まる。
これは、パイが語る物語なのだ。

映像も物語もファンタスティック
自然の恐ろしさと美しさ…いや、恐ろしいからこそ美しい物語。

海へ出てからは、生きることに関しては現実的でありながら、悪夢のように過酷な話が語られる。
1人の少年が生きていくために取る数々の行動にハラハラドキドキしっぱなしだ。

2Dの上映回数が少なくて選択肢がなかったので3Dで観たけれど、これはもう全く損はしない。むしろ2Dで観たらどうなるのか想像できない。
  

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どこまでも広がる星空や深い海の自然が素晴らしい。
もっとも、空と海。これだけしかパイに見える風景はないんだけど…。
美しくて美しくて泣けてくるほどだ。

自然の恩恵を受けられるのも命があるからこそである。
パイがリチャード・パーカーと眺める星空。海に浮かぶ星のように輝くくらげの大群。
1人と一頭は時々、これらの美しさを眺めながら今日も生きている事を実感する。
  

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「パイ」は少年の本名ではない。「Π」の事だ。円周率を表す「π」。
どこまでも続く超越数。永遠の数。

この物語は先が見えないほど遠い命の物語、神の物語、信仰の物語…。
少年が自ら名乗ったこの名前の物語なのだ。

自然に感謝し、命に感謝し、運命に感謝する。
見終わって、そんな気持ち。

残酷な描写は、ほとんどカットされているので、お子様でも安心して見れる、はず。
生きるための知恵や生への執着は、ぜひ見せたい所…。

 


以下ネタバレ感想

 

 

ラスト近くになって、パイは急にもう一つの話をし始める。
船の事故原因を調査しに来た日本人が、パイの話を信じなかったんだね。

そこで、パイは「真実の話」として全く別の事を言った。

救命ボートに乗ったのは、パイと母とコックと水夫だった。
水夫は足を骨折しており、すぐに死んでしまった。
コックが母を殺し、そのコックをパイが殺した。

つまり、「別の話」では、
水夫=シマウマ。
料理人=ハイエナ。
母=オラウータン。
そして、パイがトラという事になる。

その話は全く映像なく、パイの語りだけで済ませられるんだけど…何だか絵が見えてしまった気がした。
4人の人間が救命ボートで脱出し、そして、トラであるパイだけが助かった。
肉を食べないはずの信仰の元…パイは、もしかしたら、魚どころではない肉を食べたのかもしれない…。

「キミはどっちの話が好きだい?」

と、パイはライターに聞く。

書いて良いですか?

もちろん。キミの物語だ。

私は、黙って一度も振り向かず去って行ったリチャード・パーカーとパイの物語を信じる。
それが私の物語。

あなたの物語は、どちらですか

「ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日」公式サイト

 

 

 


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・象のロケット

★前田有一の超映画批評★

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