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『ダーク・フェアリー』地下室の魔物は歯と骨がお好き

ダーク・フェアリー~ DON’T BE AFRAID OF THE DARK ~

   

監督: トロイ・ニクシー   
出演: ケイティ・ホームズ、ガイ・ピアース、ベイリー・マディソン、ギャリー・マクドナルド、エドゥイナ・リチャード、ジャック・トンプソン、ジュリア・ブレイク、ニコラス・ベル
公開: 2012年1月21日

2012年12月18日。DVD観賞。

「パンズ・ラビリンス」「永遠の子どもたち」ギレルモ・デル・トロ制作・脚本作品。

両作品と同じように、何かが迫る闇の暗さ、怖さ、クラッシックな建築や調度、切ないストーリー…は、味わえる。

本作は、1973年にABCテレビで放映されていた「地下室の魔物」というテレビ映画のリメイクらしい。
元はどういう物なのか未見です。

ストーリーは、その元映画の通り、「地下室の魔物」に狙われる住人の話である。
そして、親に理解されない悲しい子どもの話でもある。

古い屋敷には、確かに恐ろしい先住民がいそうだ。日本でも田舎のお屋敷には何か居そうな気がするけど、洋館も同じ。地下室や屋根裏には足を運びたくない。
しかし、子どもは無謀にもその恐ろしさを「冒険」と称して克服しようとする。

だから、止めろって……。

しかし、サリーの場合は何かしらの愛を求めて自分を呼んでくれる人を探しているから仕方ない部分もある…。バカな両親の元に生まれてしまったから孤独でヤケっぱちになってるし。

結果、自分を呼んでくれているのは、呼ばれちゃならない物だった…。

「何かがいる家」の不気味な描き方は秀逸。
信じてくれない親、孤独な戦い、どこから襲ってくるか解らない恐怖。
全く関係ないけど、この感覚が「ウーマン・イン・ブラック」にも欲しかったんだよ!!と、見ながら思ってた。

ものすごく後味良く終わる…という事はギレルモ・デル・トロだからないに決まっている…と覚悟はして見たけれども、うん、やっぱり。

切ないダークファンタジーである事は覚悟の上でご鑑賞ください。魔物自体は…そんなに怖くはないと思うけれども、ショッキングなシーンは一応ある。

ただ、キムの内面の描き方が今ひとつ弱いせいで物足らなさは残る。
もう少しこの疑似親子の間の繋がりが描かれていれば、きっともっと切なかったはず…。

 

ここから下ネタバレ観てない方は観てから読んでね 

    


キムがあそこまでサリーに肩入れしてやる動機が弱いかな、と思った。
セリフの中に「やっと子供時代から抜け出せたんだから」というような物があった気がするので、この人も何かしら不遇な少女時代を過ごしていたんだと思うのだけど説明が足らなくて察してあげる事しかできない。

私だったら、継子のためにここまでしてやらないよなぁ…と思ってしまった。いや、結婚してないから継子でさえないし。

冒頭のお手伝いさんの歯を折るシーンは、ぎゃーーー!だわ…。
歯がエサだとか、どんだけカルシウム足らないん…。
魔物は姿を見せれば悪化したグレムリンのようで、ちょっと拍子抜けだけど、あんな物でも大群で襲って来ればそりゃ恐いだろう。

終わってみれば、子どもには「親がやっちゃいけないという事はやるな」大人には「子どもを信じてやれ」という教訓のようにも感じられるストーリー。

「パンズ・ラビリンス」「永遠の子どもたち」ほどの切なさが得られなかったのは、ちょっと残念という感想でした。

「ダーク・フェアリー」公式サイト

 


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・象のロケット

★前田有一の超映画批評★

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